第8章 竜鳴
草彅には、組持たせてやんねーとな…
今までの客分とは違うんだから。
「総長、棺が出ます」
「ああ…わかった」
玄関まで歩いて行くと、翼竜会の面々が俺を迎えた。
俺はその中を前をみて歩いて行く。
松本と二宮が俺の背後にぴったりとくっついて歩く。
車の脇には城島が待っていた。
「ボン…いえ、総長…お写真を」
親父の写真を城島に渡された。
「いや…智也!お前持て」
「えっ…」
「いいから…俺は後から自分の車で行くから」
そう言って智也を霊柩車に乗せた。
火葬場へは、極東翼竜会の幹部、喜多川の幹部だけで向かった。
喜多川の車に乗り込むと、助手席に小杉が乗り込んだ。
俺の隣には相葉がしっかりと陣取った。
運転手の若衆に合図すると、黒塗りの車は滑りだした。
後ろから大野組幹部の乗る車が着いてくる。
「小杉…明日、地味に盃事するから」
「えっ…」
「後な、頼みがあるんだが…」
「なんでしょう」
「うちの客分の草彅、組を持たせたい。こんな話、あんまりねえんだが、お前に任せていいか?」
「…分かりました。ウチの一部のシマを譲りましょう」
「いいのか…?」
「家は大野よりはでかい組ですからね…」
そう言うと、すこし皮肉に笑った。