第7章 レクイエム
少しうとうとしていた。
目が覚めると、太陽は真上を過ぎたところに居た。
「智、ご飯食べようか」
頷くと、俺の手を握った。
そのまま二人でキッチンに立つ。
俺は飯なんか作れないから、簡単なものを皿に盛りつけた。
カウンターに皿を置くと、二人で並んで椅子に座った。
「いただきます」
二人だけで飯を食う。
そこには会話はなかった。
飯を食い終わったら風呂を洗って使えるようにした。
その間も智は俺の傍を離れなかった。
そうやって一日、なんとか住めるように二人で家中を整えた。
やっときた真新しいベッドにシーツを被せると、二人で飛び込んだ。
「おお…凄い寝心地いいな…」
「ふわふわ…」
ぎゅっと智の肩を抱き寄せた。
「ここに…いつか二人で住もうな…」
「うん…」
もう夕方になっていた。
二人でベッドの上から、窓の外を見た。
カーテンを開けたままにしていたから、夕日が海に沈むのがよく見えた。
そのまま電気もつけないで、俺達は落陽を眺めた。
果てしないオレンジ色。
そしてそれを押し包んでいくグレー。
世界が逆転すると、やがてそのグレーは暗闇に飲み込まれていった。
智の肩を抱きながら、ひたすらその美しさに見惚れていた。