第7章 レクイエム
目を覚ますと、朝日の中俺の腕に包まれる組長が居た。
酷く安心した。
そっとベッドを抜け出し、バスローブを借りる。
部屋にある小さなバスルームで身体を流すと、自分の部屋に戻った。
シャツとスエットを着こむ。
そのまま部屋を出て、若衆に声をかける。
絶対に組長を部屋から出すなと厳命した。
車のキーを握りしめて家を出た。
こんなことしても、あの人の心についた傷は癒せないかも知れない。
だけど、これができるのは恋人である俺だけなんだ…
抱きしめてキスをして、泣かせてあげられるのは…
この世界で俺だけなんだ。
必要な物を買い揃え、車に積み込む。
その足で取って返すと、部屋に閉じ込めていた組長を連れだした。
「どういうつもりなんだよ…」
予想通り、血管が切れるほど怒っていた。
「…約束の期限まで3日あります。その間、俺と一緒に居てもらいます」
「なんだと…?」
後のことは二宮に託してきた。
シゲや飛ばしてある若衆からの情報をまとめて、俺のとこに上げるよう言ってある。
その間に、少しでも。
少しでも、忘れさせたい。
俺に溺れさせたい。
俺だけを愛させたい…
エゴが爆発しそうだった。