第7章 レクイエム
そういうと、組長は俺の顔を見た。
目を見開いて、俺を見つめる。
「組長…俺だってこれ以上は、保ちませんよ…だけどね、事の真相がわからない限り、終わりませんよ…?」
「やっぱり裏があるのか」
「…わかりません。今、それを調べさせています」
「すぐネタを上げさせろ。3日待ってやる」
「…わかりました」
「それ以上は待てねえ」
「はい」
そのまま、窓の外を向いたきり組長は喋らなかった。
久々に大野の家に帰った。
若衆たちがほっとしたような顔で出迎える。
警察の捜査が入ったというが、家のなかは綺麗なもんだった。
「おかえりなさいまし、組長」
答えず、寝室へまっすぐ入った。
「お前らもういいから…用はないから、寝ちまえ」
「でも…」
「今は…そっとしておくのがいい」
若衆たちの目が潤んだ。
それぞれが可愛がってもらっていた幹部を思い浮かべているのだろう。
「弔いは必ずする。だから、こらえてくれ」
それぞれ、頷いた。
若衆たちが自分の部屋へ戻っていくのを見送って、俺の自分の部屋へ入った。
若衆だったころから、変わらず棲んでいる部屋。
暫くここで寝ることもなかった。
いつも組長の部屋で寝ていたから…
きしむベッドの上に身体を横たえた。