第7章 レクイエム
組長の言うとおり、これは裏がありそうだ…
小杉が、ここまで出来るわけがない。
若頭だが、喜多川の親父さんにとって小杉は御しやすいコマの一つなんだと俺は見ている。
将来的には近藤や東山に跡目を任せたいんじゃないだろうか…
いや…身内の贔屓目ってやつがどうしても邪魔するが、うちの組長…候補に入っている気がする。
そのうち放っておけば、小杉はなにかやらかすだろう。
その時を待って、若頭は降ろしてしまえばいい。
そのために親父さんは何かの手を打っているのかもしれない。
そこまで考えていたら、組長に肩を叩かれた。
「おい。松尾組に行くぞ」
「えっ…組長!」
「カチコミかけんぞ」
「ま、待ってください!それはいけません!」
「なんでだよ!こんなことされて、チビってられっかよ!」
「だめです!とにかく今日は…」
「うるせえっ…」
思い切り、鳩尾に膝を入れられた。
「ぐ…」
「…身内こんだけ殺されて指咥えてんのか…テメエ…」
「組…長…」
「弔いだ…行くぞ」
歩いて行く革靴の足首を掴んだ。
「行くんなら…俺を殺していってください…」
「ああ!?」
「殺せ!」
「何言ってんだ…」
「殺せないなら…今日は行くな…智…」