第7章 レクイエム
病院に着くと、真っ先に城島さんの部屋へ行った。
「入るぞ、城島」
城島さんは重傷で…
右足のヒザ下が銃撃でめちゃくちゃになって、切断した。
長い時間の手術が終わって、やっと意識が回復したところだった。
「ボン…きちゃあいけません…」
弱々しく伸ばした手を、組長は握りしめた。
「すまなかったな…なにもしてやれなくて…」
「ボンが無傷でよかった…」
「俺なんかが助かって…」
「何を言ってるんですか…ボンがおらんかったら、大野組はにっちもさっちもいきませんよ…」
「バカ…」
少し、泣いた。
その間、城島さんはうつらうつらと眠ってしまった。
「行くぞ…」
他の幹部の病室も回った。
だが、ほとんどが意識を失っていた。
一人ひとりのベッドを回ると、組長は爪を噛んだ。
「ここまで徹底的に…なんで…」
一人ひとりが食らった鉛玉は5発以上だった。
弾いても弾かなくても、それだけ発砲している。
ここまで執拗に来ることはない。
戦後の飢えて血気盛んなころじゃあるまいし…
「なにか、裏にあるのか…?」
「組長…」
今、小杉のことを言ったら…ぶち殺しに行きそうな勢いだった。
まだ裏が取れていないから、暫く黙っておいたほうがいいかもしれない。
俺自身もまだ、整理がついていない。