第7章 レクイエム
大野組の幹部は半分死んだ。
残ったものも重傷を負って、入院している。
組事務所には若衆がちらほら居るだけだった。
「組長!」
心細かったのだろう。
俺たちを見たら、走り寄ってきた。
客分の叔父貴たちは、ただ気の毒そうにこちらを見ている。
「この度はお騒がせしました…」
組長が叔父貴たちに頭を下げている。
「いや…これは見舞いだ…」
そう言って組長の前に分厚い封筒がいくつも差し出された。
「…ありがとうございます…でも…」
「あんたの親父さんの代から世話になってるんだ…このくらいのこと、させてくれや…」
草彅の叔父貴が組長の肩に手を載せた。
「なんでも協力するから、言えや…智…」
「ありがとう…叔父貴…」
組長の顔が変わった。
俺たちを見ると、にっこりと笑った。
「戦争だ。準備しろ」
俄に、事務所が殺気立った。
「…組長、お話があります…」
黒幕が小杉だと伝えなければいけない。
ただ、そのためには小杉が喜多川の親父のタマを狙っていることも伝えなければならないが…
「後にしろ。病院に行く」
幹部が入院している病院へ出向くという。
「いけません。サツが…」
「関係ない。行く」