第7章 レクイエム
松本が戻ってくるのと、相葉と組長が来るのがほとんど同時だった。
「早くっ…」
両方に声をかけ、車のドアを開けた。
松本が慌てて走って助手席に乗り込んだ。
相葉が組長を抱えて車に乗り込むのを見て、反対のドアから後部座席に滑りこんだ。
「二宮、出せ」
車は静かに赤坂の街を走りだした。
抱きとめた組長はほとんど意識を失っていた。
「相葉…よくやった」
相葉は真っ青な顔で、首を横に振った。
「すいません…俺、なにもできなくて…」
「いいや…組長を守り切ったんだ。よくやった」
そういうと相葉は俯いて泣き出した。
懐からハンカチを出すと、相葉に投げた。
「ばかやろ…こんな時に泣くな…」
「すいません…」
腕の中が重くなった。
完全に組長は意識を失った。
「おい…家はまずいから…さっきんとこ戻ってくれ」
マンションにはまだ灯りが点いていた。
中に入ると、情報が行っていたらしくシゲたちは神妙な顔で俺たちを迎えた。
上等なベッドのある部屋に組長を寝かすと、収集した情報を見た。
相葉はすぐに現場を抜けたから、被害の状況はわかっていない。
無線を繋いだ。
飛び交う音の波長を徐々に合わせていく。