第7章 レクイエム
金は幾つかの班に分かれて夜間金庫へ持っていく。
事務所に金を置いておいたんじゃ物騒で敵わない。
それぞれ金を預けてしまうと、いきつけのクラブへ集合になる。
俺はその前に、商売をやってるマンションに寄った。
夜中にしか人が居ないから、ちょうどよかった。
オートロックもなにもない8階建のマンション。
エレベーターを降りると、通路の突き当りの部屋の鍵を開ける。
「だれー?」
中から幼い声が聞こえる。
「俺だ。邪魔するぞ」
「あ!若頭!」
祐也が中から出てきた。
「今日は揃ってるか?」
「ハイ!シゲも来てます」
「おう…ご苦労だな」
この部屋にはキッチンとリビングの他に4つ部屋がある。
どれも広いとは言い難いが、寝泊まりもできるよう考えてここにした。
ここは大野組の経営する会社。
まあ…ペーパーカンパニーだったのを、俺が実際の会社に起こしただけだがね。
「どうだ?ニューヨークは…」
「あんまり芳しくありませんね…」
シゲがメガネを上げながら、画面に見入ってる。
「まああんまり無理すんな…」
慶がお茶を淹れて出してくれた。
「おう、かあちゃんのラーメン屋繁盛してるか?」
「はい…おかげさまで…」