第7章 レクイエム
月に一度、大野組には大量の札束が集まる。
ショバからの上がりと、傘下の組からの上納金。
それが一度に集まる日があるのだ。
若頭の俺は、大野組の会計責任者でもある。
この日ばかりは俺の部屋は厳戒態勢になる。
この前の事があって、組長は鬱々としていたけど、今日ばかしは気合が入っていた。
「よおし。こんなの早く終わらせて、幹部で打ち上げいこうな!」
居並ぶスーツに呼びかけると、野太い歓声が上がる。
自分達よりも年下の組長だが、大野組の幹部はそれを盛り立てようと一致団結している。
これも、組長の人柄の成せる技だろう。
俺はと言えば、大野組の資金を使って投資や投機で億を超える金を生み出している。俗にいうインテリヤクザってやつだ。
だから居並ぶ幹部を飛び越えて若頭に出世した。
それに異存を唱えるものはなかった。
全て、金だ。
俺の部屋に集まった金は、出元と金額を確認してどんどんスーツケースに収められていく。
銀行にでも預けてしまえば楽なんだろうが、なにせ後ろ暗い金も含んでいる。
小さな組だから、こうやって手作業するのが一番手っ取り早い。
全ての作業が終わると深夜になっていた。
「さあ!飲みに行くぞ!」