第7章 レクイエム
無人になると、組長の震えも収まった。
「すまない…」
「いえ…すいません。証拠出してくるまではと思って、暫く様子を見てしまいました…」
「聞いてたの!?」
「…すいません」
床に落ちている、樺島の携帯を取り上げた。
画面を見ると、俺達が裸で絡み合っている画像がいくつも出てきた。
「最近の携帯は…性能がいいんですね…」
写真を消去すると、組長の顔を見た。
「カバのこと、どうすんだ?」
「ん?ちゃんと話して国にでも帰しましょうか」
組長はほっとした顔をした。
「そうだな…あいつにこの世界は無理だろうからさ…」
そんな顔するから…
そんな表情で見つめるから…
勘違いしちまう奴が出るんだろうが…
「若頭?」
ジャケットを掴んで立ち上がらせた。
「ちょっと!?」
長部屋の隣の部屋のドアを開けた。
そこには宿直用のベッドがある。
たまに組長もそこで寝るから、この部屋の調度には金が掛かってる。
スプリングの柔らかなベッドに組長の身体を投げ出す。
「なにすんだよっ!?」
「あんたは…俺のもんだ…」
「えっ…翔?」
少し怯えた目…
ほら、その目も…
無言で組長の上にのしかかって、俺はその身体に溺れた。