第7章 レクイエム
「やだぁっ…」
長部屋の中から争う音が聞こえる。
俺の運転手をする予定の松本が、俺がいつまで経っても来ないから様子を見に来た。
「若頭…」
人差し指を口に当てた。
松本はそのまま黙りこむ。
「やめろって言ってんだろうがあっ…」
「じゃあ、バラしてやろうか…大野組だけじゃない喜多川までぜーんぶバラしてやろうか…組長と若頭がデキてますって」
「ふざけんじゃねえ!どこに証拠があんだよ!」
「ふーん…これでも?」
部屋の音が消えた。
「そうそう…おとなしくしてりゃ痛くしないからよ…」
「ふざけんじゃねえぞてめえ…」
「俺はあんたを抱ければいいんだ…あんた思ってどんだけシコったか…」
「勝手にシコってろよ…」
「たまらねえな…組長…」
俺は立ちあがってドアを開けた。
そのままソファで組長を押し倒している樺島の襟首を掴んだ。
「よお。何してくれてんだ?樺島」
「若頭っ…」
「組長…」
「翔っ…」
樺島を松本に渡して、俺は組長を抱きしめた。
ぎゅっと抱きしめると、身体が小さく震えているのがわかった。
「松本…そいつ、トランクに詰めとけ」
「はい…」
ドアの入り口に相葉と二宮が立っていた。
「お前らに任せる」
「はい」