第7章 レクイエム
「小杉の凄いの掴みました」
「え…なんだそりゃあ…」
小杉は喜多川一家の若頭を務めている。
若頭と言ったら、次の頭だ。
もう10年以上若頭をしているが、喜多川の親父はまだまだ矍鑠としていて、次に譲るつもりはない。
一家の総長となれば、極東翼竜会の総長ということにもなる。
関東一円に点在する組からの上がり(上納金)は相当のものだ。
喜多川の親父はその上がりを元手に、相当な規模の商売をしている。
その金を背景に、裏社会を渡っているのだ。
金があるものが、王者になる。
それが極道の世界だ。
「…喜多川の親父を…」
二宮の低い声が、部屋に響いた。
「は…タマとろうってのか…」
「ええ…」
「これか…この前から言ってたでっかいのって…」
「はい。今回は、小杉組から情報を抜きました」
「よくやったな…どうやったんだ」
「身体で…」
「えっ…」
「まあ、それはいいでしょ」
「二宮…お前…」
「いいんです。俺ができることってたかが知れてますんで」
さらりと二宮は言ってのけた。
「…わかった…この情報、無駄にゃしねえよ」
「是非」
松本と相葉が二宮を見つめた。
なんとも言えない目をしていた。