第7章 レクイエム
「若頭っ…」
二宮が事務所に駆け込んでくる。
「なんだ…そんな慌てて…」
おんぼろビルの空調がイカれて、俺は脚立に乗ってエアコンのフィルターを取っていた。
「すいませんっ…あのっ…」
二宮はそこでコケてしまった。
「オイ…松本、起こしてやれや」
「はい」
脚立を支えていた松本が、二宮に駆け寄った。
「ありがと…あのっ…若頭…」
「なんだ…ちったぁ落ち着けや」
「いやあのそれが…」
あんまり二宮がわたわたするからおかしくて。
耐え切れず相葉が笑い出したのをきっかけに、そこにいる全員が笑い出した。
「んなっ…わ、笑うなよっ…!」
なんか、こんな人形あったな…
そう思ったらもう立ち直れないくらい笑いがこみ上げてきて、どうしようもなかった。
「酷いや…もう…」
服の裾をぎゅっと握りしめて、二宮が泣きそうになっている。
「わかったわかった…」
脚立の上から頭をなでてやったら、やっと機嫌を直した。
「あの…部屋で…」
こそっと言うから、俺は脚立から降りた。
慎吾が変わってくれたから、そのままエアコンを頼んで俺の部屋に入った。
松本と相葉もついてきた。
「おう、で、どうした?」