第6章 昇る竜
翌朝は、頭がぼーっとしていた。
相葉に急かされて用意されてた喪服を着ると、車に詰め込まれた。
喜多川に着く頃には意識はしゃっきりしてきた。
屋敷に入ると、線香の匂いが玄関先までしていた。
祭壇のある座敷に行くと、中丸が線香を足したところだった。
「総長、おはようございます」
畳に手をついてきっちりと頭を下げてくる。
後ろには座布団をつなげて、長瀬と亀梨と上田が雑魚寝していた。
一升瓶や寿司折がその辺にたくさん転がってた。
「おう。昨日は賑やかにやってくれたみたいだな」
「あ…すいません。今、片付けますんで」
「いや、いい。親父も退屈しなかっただろ」
線香を一本手向けると、手を合わせた。
そのまま中丸には少し休むように言うと、相葉に暫く線香番をするようにいいおいて台所に向かった。
普段はこんなところ入らないけど、水が欲しくて足を向けた。
「誰か居るか」
のれんをくぐって中に入ると、コンロの前に姐さんが立っていた。
「何してんの」
「ああ…おはよう。智」
「おはよ」
「味噌汁作ってんだよ。あの子らどうせ二日酔いだろうから」
「ぷっ…だろうな。姐さんさすがだな」
「おだてても何も出ないよ」