第6章 昇る竜
相葉が部屋に入ってきて、バスローブの俺の腕を捲り上げた。
薬のチューブを出して、火傷に塗りこんだ。
「いてえよ…」
「ならもうこんなことしないでください」
ぽたりと相葉の涙が腕に落ちた。
「泣くなよ…」
「泣いてません」
「嘘つけ…」
いきなり相葉が抱きついてきた。
「もう…お願いだから…智さん…」
「なんだよ…」
「あなたの辛いこと、分けて下さい…」
「相葉…」
「智さんは俺を救ってくれたのに…俺は智さんに何にもできないんですか…」
相葉の背中に腕を回した。
ポンポンと叩いてやる。
「なに言ってんだよ…いつも俺のこと助けてくれてるだろうが」
「…俺は翔さんにはなれない…」
「相葉…」
「二宮にもなれない」
「何言ってんだ!」
「どうすれば、今の智さんを癒やすことができますか?」
「大丈夫だって言ってんだろ…」
相葉は身体を離して俺の顔を見た。
「さっき寝てる時、翔さんに助けを求めていました」
まっすぐに相葉は俺を見つめた。
でもすぐに目を伏せた。
「…松本を呼びましょうか…」
そう言うと立ちあがった。
「なんでだよ」
「松本なら…翔さんの代わりができます」