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ごった煮短篇集

第2章 血界線戦 ザップ


ザップは口を閉ざし、自分のことを思い返しているようだった。
自分はいろんな女性と関係を持っているくせに、人には何をしているんだと説教でもするつもりなのだろうか。糞食らえだ。

まあ、本当に肉体関係なわけはない。ただ夕飯を一緒にと誘っただけだ。
最近、元気のないように見える彼に、腕を振るうのも悪くないと思ってのこと。あまり手の込んだものは作れないが。

約束の時間まであと少しだ。
こんな白髪猿とテーブルを囲んで食事など考えたくもない。
なまえはシッシッと手を振ってザップを追い立てる。

「そういうことだから、早く行って」

せっかく料理の香りで出迎えようと思ったのに、このタバコの匂いじゃあんまりだ。
なまえはため息をつきつつ、ザップの背中を押して玄関まで押し出そうとした。

ピンポーン

絶妙なタイミング。
時間より早めだが、彼らしいといえばらしいか。

なまえは返事を返し、仕方ないと窓からザップを落とそうとしたとき。

「え、ちょっ」

無言のまま腕を引かれ、玄関に引っ張り込まれる。なまえは誰が来たのか知っているが、ザップは知らない。
ドアスコープを覗き込むザップの腕を振りほどこうともがくが、そんなことは屁でもないようだ。

ガッチリ腕を掴まれたまま、品性の欠片も無い舌打ちを聞いた。

「誰かと思えば、ガキの方かよ」

他に誰を想像したんだと抗議したいところだが、玄関前にいつまでもレオナルドを待たせるわけにもいくまい。
ここは仕方ないので、ザップには玄関から丁重にお帰りいただこう。

なまえは掴まれた腕を掴み返し、玄関を開けようと手を取手にかけたところで、腰と腰とをピッタリとくっつけられた。

不意のことで心臓がどきりとする。
どちらかといえばイケメンの分類に分けられるザップは、女を枯らしたことはないし、たぶんこの顔だけで抱き込んでいる。
それが気にくわない。

今もそうだ。
自分ならどうにかなるだろうと思っての行動に違いない。吐き気がする。

顔を顰め、拳を握りしめたがその手も軽々しく押さえ込まれ、顔が一気に近づいてきた。
あっと思った時には、もう唇は重なっていて。

「ん……ざっ、やめっ……んぁ」

大きな手の平は背中を這い、服を脱がしにかかる。
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