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ごった煮短篇集

第4章 BLEACH・一護


浦原商店と大きく書かれた店先を、これまた大きなホウキを手にしたなまえが掃き掃除を始めたところだった。ちびっ子たち二人を引き連れて浦原は少し出かけると言い置いて店を出、テッサイは店の奥で在庫の整理。よって、暇になったなまえが掃除当番をかってでたわけだが。

小春日和と言うのだろう。柔らかな日差しが注ぎ、桜は見えないが風も暖かく優しい。
深く息を吸い込むと青い匂いが心地良く、思わず頬が緩む。
ホウキを肩に回しかけ、背伸びをするようにグゥっと背中を反らせた。

「おお」

「……ちわっ」

伸びた先には見慣れたオレンジ色に眩しい髪色。とりあえず挨拶をした彼の眉間には深くシワが刻まれて、背丈の関係ではあるが鋭い眼光で見下ろされている。
なまえは背筋を伸ばして小さく頭を下げた。

「こんにちわ。浦原さん?」

「ああ。いるのか?」

「いないよ。ウルルとジン太と出かけた。ちょっとだけって言ってたから、すぐ戻るとは思うけど……」

生憎、腕時計なんてものには習慣がなくてどのぐらいの時間がたったのかはわからないが。

「まぁー……もうすぐ戻るのではないかと……思わなくもないですが……どうでしょう……」

「急に歯切れ悪くなるなよ」

口の端で笑う一護が商店を指さして「テッサイさんは?」ときくので丁寧に仕事を教えてやる。ついでになまえの掃除話をきかせてやると、それは知っているからとヒラヒラ手であしらわれた。
冷たい反応に唇を尖らせて、担いでいたホウキの先で一護の背中をブスリと数度刺してやる。痛てぇ!と大袈裟なぐらい反応を見せる彼がおかしくて、もっと困らせたくなる。

そんな心情を隠そうともせずに、ニヤニヤしながら「それで?」と続きを促す。

「待ってる? 忙しきゃ、帰ってきた時に連絡しようか」

「いや、待ってる。待てなかったらそん時は帰る」

「一護は本当にいいね」

目の前のことに対して、自分がしたいようにする決定の早さがなまえの好みであることは幾度となく彼本人にも伝えてはある。
が、それに当人が慣れるかどうかはまた別の話で。足りない分の背を埋めるように爪先で立って、一護の頭をぐりぐりと撫で回す彼女から照れを隠すように俯いて「やめろよ」と言葉だけの否定を繰り返す。
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