第2章 カラ松くんとわたし
冬の屋上は、ちょっと寒い。
だから、わたしたちは、いつも、肩を寄せ合うようにしてお弁当をつついた。
「今日も誰もいないね……」
カラ松「ああ。この寒さだからな…」
そう言って、カラ松くんは、卵焼きを頬張った。
ちなみに、付き合い始めてからは、カラ松くんのお弁当はわたしが作っている。
だから、今カラ松くんが口にした卵焼きも、わたしがつくった卵焼き。
「ど、どう……かな?」
カラ松「うん。あいかわらず美味しくない」
ガーン。
はっきりと言われて、がっくりと肩を落とす。
仕方ないじゃない。
料理、苦手なんだもの。
でも、カラ松くんのために、料理の腕があがるように、必死に特訓中なんだけどなあ……なかなか成果があがらないなあ……
カラ松「具体的には、塩気が多すぎるな。あと、なんかビタビタしてる」
「う、ううう……」
カラ松「……でも、が一生懸命つくってくれたのは、すごく嬉しいよ。ありがとうな」
そう言って、カラ松くんは、わたしの頭を撫でた。
ふわーっと幸せな気持ちが広がる。
わたしはカラ松くんの彼女なんだな……という実感がこみ上げてくる。
不意に、カラ松くんの手が、わたしの手に重なった。
その瞳が、真剣な色を帯びた。
「……?」
カラ松「……本当に好きなんだ。こんな気持ち、初めてで……なんて言えばいいかわからないけど、でも、のこと、大切にするから」
「カラ松くん……」
カラ松くんは、お箸を置いて、わたしの肩を抱き寄せた。
そして――
ちゅ。
触れるだけのキス。
わたしにとっては、初めてのキスだった。
カラ松くんの柔らかな唇の感触が伝わってきて、息が止まりそうになる。
ばくばく、と心臓が壊れんばかりに音をたてる。