第2章 カラ松くんとわたし
カラ松くんとわたしが付き合い始めたという噂は、あっと言う間に学年中に広がった。
というのも、クラスのちがうカラ松くんが、休み時間のたびに教室にわたしを迎えに来るようになったからだ。
そして、今日も……
カラ松「!」
終業のチャイムが鳴り昼休みになるのと同時に、カラ松くんがやって来た。
クラスの女の子たちが、『カラ松くんだ〜!』『やっぱかっこいいね!』と歓声をあげる。
カラ松くんは、その黄色い声を無視して、わたしの机のところへ歩いてくる。
カラ松「、早く行こう。昼休み終わっちゃうぞ」
「うん、ちょっと待って」
わたしは、鞄からお弁当の包みを取り出して、立ち上がる。
そんなわたしの手を、カラ松くんがごく自然な動きで握った。
けれども、これも、付き合い始めてから毎度のことなので、もう慣れた。
最初は、人前で手を繋がれるのは、ものすごく恥ずかしかったけれど。
「今日も屋上で食べる?」
カラ松「ああ、そうしよう」
うん、と頷き、カラ松くんとふたり連れ立って教室を出る。
後ろから女の子たちの黒々とした視線を感じたけれど、気にしないことにした。
だって、そんなの、気にしていたらキリがない。
カラ松くんは、わたしのクラスだけでなく、全校の女の子が憧れる存在なんだから。