第6章 せめて…
放課後、わたしは、トド松くんに言われたとおり、屋上へと向かった。
冬の屋上は、やっぱり寒くて、屋上に出た瞬間、思わずぶるっと身震いする。
……トド松くんは、まだ来ていないみたいだった。
トド松くんのクラスは、帰りのホームルームが長引くって、前にカラ松くんが言っていた気がする。
わたしは、ポケットからカイロを取り出して、手のひらで擦り合わせた。
「あったか〜い……」
あったかくて、幸せで、思わず声に出た。
と、そのときだった。
トド松「ちゃーん、お待たせー!」
出入り口から、トド松くんが姿を現した。
トド松くんは、キャメル色のダッフルコートにピンクのマフラーを身につけている。……やっぱり、トド松くんって可愛い。
トド松「ごめんね、待ったでしょ?」
「ううん、大丈夫だよ」
トド松「うちの担任、話長くってさ……ほんとごめんね?」
ぱちんと手を合わせるトド松くん。
「それより、大事な用事があるんだよね? どうしたの?」
トド松「……ああ、うん」
わたしがたずねると、トド松くんは、顔をうつむけた。
そして、もじもじと身体を揺らした。
「……どうかしたの?」
トド松「あのね、ちゃん」
「う、うん……?」
トド松「ちゃん、昨日言ったよね? 何かしら行動したほうがいいって」
……何かしら行動したほうがいい? それって、もしかして、トド松くんが好きな人の話かな?
「うん。言ったよ。その後進展あったの?」
トド松「そうじゃないんだけど……ちゃんのお陰で、決心できたんだ。僕、勇気を出してみるよ」
「そっか…! それは良かった! トド松くんなら、可愛いし、きっと相手の子も――」
言いかけたそのときだった。
突然、手首をつかまれた。