第6章 せめて…
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おそ松「おはよー!ちゃん!」
翌朝、教室に行くと、わたしの机におそ松くんが座っていた。
一松「あ…おはよ」
隣の席の一松くんも、わたしに気がつき、挨拶をしてくる。
一松くんは、相変わらず大きなパンを持っていて、もぐもぐと口を動かしている。
「おはよう……ふたりとも早いね」
おそ松「まーなっ。…あ、そうそう。これ」
そう言っておそ松くんが投げてよこしたのは、わたしの上履きだった。
昨日、カラ松くんのファン(であろう)の女の子たちに隠された上履き……
「ど、どこでこれを?」
おそ松「あーっとね…校舎裏のごみ置き場に捨ててあった」
「そうだったんだ……」
わかってはいたけれど、ショックだった。
理由はなんであれ、誰かに嫌われるっていうのは、とても悲しいことなんだな。
一松「……あんま気にしないほうがいいよ」
「えっ?」
一松「それ、ただの僻みだから。が気にすることない」
「う、うん……ありがとう」
まさか、一松くんがそんなことを言ってくれるなんて、思ってなかった。
なによ。いつもはぶっきらぼうでそっけなくて意地悪だけど、優しいとこもあるんだね。
と、そのとき。ふと、昨日おそ松くんが学校に来ていなかったことを思い出した。
「そういえば、おそ松くん。昨日はどうしたの?」
おそ松「んー? なにが?」
「学校休んでたじゃん。何かあったのかなーって」
わたしがたずねると、おそ松くんは、笑顔のまま固まり、あー、と目を泳がせた。
おそ松「…ちょっと体調悪くってさー。家で寝てた」
「そうなんだ。風邪? 最近流行ってるよね」
おそ松「そうそう、風邪! でも、もうすっかり良くなったから。大丈夫」
「そっか、よかった。お大事にね」
そのとき、予鈴が鳴り、担任の先生が教室に入ってきた。