第6章 せめて…
「トド松くんってさ……どうして彼女つくらないの? こんなにモテるのに」
トド松「うーん……」
わたしの質問に、トド松くんは、首をひねった。
それは、彼女をつくらない理由を考えている、というよりは、その理由をわたしに教えるべきか悩んでいる、という感じだった。
トド松「……好きな人がいるから」
ぽつり。呟くように、トド松くんの口からこぼれたひとこと。
「えっ…トド松くん、好きな人いるの?」
トド松「うん。もう1年以上片想いしてる。本当に好きで好きでたまらなくて……他の女の子なんて考えられないんだ」
そうなんだ……
トド松くんが彼女をつくらないのには、そういう理由があったんだね。
「告白、しないの?」
トド松「しても無駄だから。だって、その子、彼氏いるし」
「そっ、そうなの?」
トド松「そーなの。だから、僕のことなんて眼中にないよ、きっと」
「でも、それは、告白してみないと分からなくない? 何もしなかったら、ずっとこのままだよ?」
トド松「……そうだね。じゃあさ、ちゃんは、何かしら行動したほうがいいと思う?」
「うん、もちろん…」
確かに、彼氏がいる女の子にアタックするのは、勇気がいると思う。
でも、諦めたらそこで終わってしまう。
トド松「…そっか。ちゃんがそこまで言うなら、がんばってみようかなあ〜」
トド松くんは、そう言って、小さく笑った。
それは、いつものあざとい可愛い笑顔ではなくて、彼の素の笑顔だった。
わたしは、トド松くんのこの笑顔が好き。
だから、トド松くんには笑顔でいてほしい。