第6章 せめて…
トド松「それはそうと……」
と、トド松くんが、こてんと首を傾げて言った。
トド松「今日は、カラ松兄さんは一緒じゃなかったんだね。部活がないなら、一緒に帰ればよかったのに。兄さん、さっき見かけたけど暇そうにしてたよ」
「そっか……」
カラ松くん……本当は一緒に帰りたかったんだけどな。
でも、そのことをトド松くんに言うわけにはいかない。
「今はちょっとそういう気分じゃなくて。……あ、でも、カラ松くんには具合悪いってことにしてあるから、言わないでね」
トド松「う、うん、それは別にいいけど……でも、珍しいね。ちゃんがカラ松兄さんに会いたくないなんて」
「わたしにもそういう日くらいあるよ」
トド松「ふーん、そっかあ」
トド松くんは、目線を床に落とし、考え込むような表情をした。
トド松「……じゃあさ、たまには僕とどこか遊びに行かない?」
「……えっ?」
トド松くんの言葉に、わたしは、大きく目を見張る。
遊びに行くって……今から?
トド松「それとも一人になりたかった? だったら、僕はさっさと退散するけど」
「あ……ううん、そうじゃないの」
そっか。トド松くんと遊びに……
トド松くんと遊べば、もしかすると余計な悩みとかも忘れちゃえるかもしれない。
たまには気分転換も大事だよね。
「せっかくだし、トド松くんさえ良ければ、一緒に遊びに行きたいな…」
わたしがそう答えた、そのときだった。
カラ松「……ふーん? 誰と遊びに行きたいって?」
背後から、腕を掴み上げられて、わたしは反射的にそちらを振り向いた。
そこには、わたしの大好きな人……カラ松くんがいた。