第4章 嫌がらせ
教室に入り、自分の机に向かう。
隣の席には、既に一松くんが座っていて、朝ごはんなのか何なのか、大きなメロンパンを頬張っていた。
一松「ん……おはよ、」
一松くんは、わたしに気がつくと、何事もなかったかのような穏やかな声で朝の挨拶を口にした。
まるで、昨日の出来事なんて覚えてないような、そんな態度だ。
「お、おはよう……」
一松「なにびくついてんの? 何もしないって」
あ……一応、覚えてはいるんだね。
一松「…そういえば、今日はカラ松と一緒じゃなかったんだね」
「う、うん……カラ松くん、今日は朝練があるからって」
一松「あんたはないの?朝練」
本当は、わたしも朝練に行かなくちゃいけなかった。
でも、昨日の時点で、朝練なんて行ける状態じゃなかった。
「一松くんたちのせいだよ……」
そう、おそ松くんと一松くんのせいで、身体も心もボロボロだ。
こんな状態で、早起きして、学校に行って、発声練習やら筋トレやら、そんなことができるとは思えなかったのだ。
一松「ヒヒッ……俺たちのせいか。なるほどね」
楽しそうに笑う一松くんに、イライラが募っていく。
このひと……よくこんな普通にしてられるね!
わたしのこと強姦しておいて……わたしのハジメテを奪っておいて……
わたしは、夜も眠れないくらい悩んでいたのに。目が痛くなるくらい泣いたのに。
でも、それを一松くんにぶつける勇気はない。
だって、一松くんを怒らせてあの写真をばらまかれたら大変だから……