第2章 カラ松くんとわたし
……と、そのとき、ふと、おそ松くんから煙草の煙の匂いがすることに気がついた。
「ねえ、おそ松くん……もしかしてまた煙草吸ってたの?」
おそ松「あ、バレたー? 匂いする?」
おそ松くんは、学ランの腕の部分に鼻を近づけ、くんくんと匂いを嗅ぐ。
「うん……いかにも喫煙してました!ってかんじだよ」
おそ松「あー、まじか。まいったなぁ、先生にバレるかな?」
一松「……なんで学ランのまま吸うんだよ、バカなの?」
それまで黙っていた一松くんが、口をひらいた。
一松「俺は、学校で吸うときは、いつも学ラン脱いでパーカーになってから吸うよ」
おそ松「おー、そっか。俺も今度からそうしよーっと」
「いやいや、ダメでしょ! 学校で煙草なんて吸っちゃ。チョロ松くんに言いつけるよ」
おそ松くんと一松くんは、この学校でも有数の問題児で、校内でも平気で煙草を吸う。
他の兄弟はそんなことないんだけど……たまたまわたしとクラスが同じこの2人が特別不真面目なのだ。
ちなみに、チョロ松くんっていうのは、兄弟の中でも1番真面目で常識のある人。生徒会の副会長さんもつとめている。
おそ松「ちゃん、それは勘弁してよー。アイツ、ただでさえ勉強しろとか制服ちゃんと着ろとか煩いのにさー」
一松「チョロ松兄さんは俺には甘いから大丈夫」
おそ松「あっ、ずりーぞ、一松!」
ぎゃいぎゃいと騒ぐふたりを尻目に、数学の教科書をひらいて、さらっと前の授業の復習をする。
わたしは、勉強に関しては真面目なほうだ。
成績は決して良くはないけれど。
それに……
今日は、特別授業をがんばれる気がする。
だって、このあと、カラ松くんと会うんだもの。
それだけで、勉強だってなんだって頑張れる気がした。