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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第14章 燈火の 影にかがよふ うつせみの



 どんなに傷を負っても、たちどころに再生してしまう鬼の体とは違う。
 その体には杏寿郎が歩み、走り抜き、生きてきた軌跡がある。


「杏寿郎しか持っていないものだから。すごく、きれい」


 布団に寝そべっていた頭を上げて、傷跡に恭しく口付ける。
 蛍の行為に、杏寿郎はくすぐったそうに微笑んだ。


「よもや男の俺が、綺麗だと褒められるとはな」

「本当のことだよ?」

「だから尚更、照れ臭い」

「じゃあ私の気持ちもわかった?」

「む…そうだな、確かに」

「それならあんまり言わな」

「だが止めるとは言ってない」

「なんで」


 思わず真顔で突っ込む蛍に、普段の姿を思い出してくつくつと面白そうに笑う。
 その目の奥底には、熱い灯火を抱いたまま。


「俺の言葉に翻弄される君を見ているのは、存外気分が良い」

「っ」


 灯火を宿す目を細めて笑う表情は、先程とは一変していた。

 纏うものなど何もない膝から腿へと、大きな手が撫でていく。
 ゆっくりとだが確実に閉じた脚の間へと伸びた指先が、そこへと滑り込む。
 くちり、と微かに指先を掠めたのは湿った感触。


「…濡れてるな」

「っ…だって色々触られたから…」

「感じてくれたのか?」


 身を震わせ凝視する程に、杏寿郎越しの何かに恐怖を抱いていた蛍だからこそ。
 まさか秘部を濡らしていようとは予想もしていなかったことに、驚きはしたが胸には別の感情が満ちた。


「だって杏寿郎が…あっ」

「俺が?」

「そうやって…触る、から…ぁ、ぁ」


 ゆっくりと差し込んだ杏寿郎の中指を、迎え入れるように飲み込んでいく小さな蜜壺。
 温かく濡れそぼった蜜の中を指で探れば、濡れた唇から零れ落ちる小さな喘ぎ。

 微かなその声をしかと聴き取りたくて、様子を見ながら指で律動を繰り返す。
 目の前の柔らかな胸の頂にも舌を這わせれば、組み敷いた体はひくひくと小刻みに震えた。

 囁かな抵抗とばかりに閉じようとする脚の間に、膝を割り込ませる。
 優しく内太腿を押し開き、視覚にも捉えられる濡れそぼった蜜の入り口に尚深く、指を滑らせた。


「ん、ぁっ…は、」

「教えてくれ、蛍。君が感じるところを」

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