第12章 鬼と豆まき《壱》✔
「も、もう一度考え直してもら」
「何言ってるの?」
「いっ…!」
ぷるぷると三度目の挙手をすれば、強く引かれた管に強制的に手が下ろされる。
涼しい顔で垂直に管を張る程に強く引いているのは、繋いだ先の無一郎。
「お館様に好き勝手意見するなんて。一度死んで出直してきたら?」
「ごめんなさい!(幸先悪い!!)」
やはり未来は絶望的だ。
「なら少しは…その、協調性、というものを…」
「何? 聞こえない」
「ム! 厶!」
「禰豆子。それを引っ張るな。箱の中にいていいから大人しくしてくれ」
「ムゥ!」
「禰豆子」
なんとも凸凹な統制のない色鬼達。
そんな我が子達の空気を見守る耀哉だけは、楽しそうに微笑んでいた。
「鬼は外にて福は内。この日、鬼は好きなだけ外を自由に歩けるということだ」
昼も夜も関係なく、善も悪も関係なく、悪鬼にも自由を与えられる日。
「私の可愛い鬼子達」
親のような慈愛と、子のような童心で。
耀哉は四色の鬼を送り出した。
「日頃の絶え間ぬ努力を術に、楽しんでおいで」