第12章 鬼と豆まき《壱》✔
蜜璃ちゃんの隊服以上に胸元を大きく開き肩も露出した着物に、前掛けの帯。
足元は私と同じ黒い長靴下を履いているけど、緩く開いた着物から太腿も見え…て…うん。
それ最早町娘の格好じゃない。
花魁の着付けだから。
「おぉおぉお!! とてもお似合いですよ禰豆子さん!!!」
そしてその元凶であろう前田さんは、私を見た時以上の歓喜の声。
「いたいけな少女の姿に見合わぬ艶やかさ! これぞ清と性が絡まり合った傑作…! 素晴らしい!!」
うわあ…やっぱり前田さんは前田さんだった。
なんか上手いこと言ってるみたいだけど変態だ。
私の口枷にも興奮してたけど、本当に地雷はないんだな。なんでも良いんだな。
変態だ。
「なんで禰豆子だけこんな格好…」
「禰豆子さんの着物には制限がなかったので!!」
「う、ううむ…すまん…そこまで気付いてやれなんだ…」
あ、杏寿郎が申し訳なさそうに謝っている。
ということは、禰豆子の着物の監視は甘かったってことか。
でもまさかこんな幼い禰豆子の着物に、前田さんの性癖をぶち込まれようとは。
「ムゥッムゥう…!」
「あっ駄目だよ禰豆子! こんな所で脱いだら!」
「禰豆子!!」
引っ張っていた下服が脱げないことに痺れを切らしたのか、靴下から脱ぎ出そうとする禰豆子に私と炭治郎が慌ててその手を止める。
ほら! 杏寿郎もぎょっとしてるでしょ!
思いっきり顔を逸して明後日の方向見てくれてるよ!
「前田さんも手伝」
「気に入らないなら別の素材で作りましょう! なので脱いでも大丈夫です!!」
「!? 何言って…何その顔!」
めっちゃ期待してる! 変態!!
「禰豆子さんの寸法はまだ測っていませんでしたし、この機にぜひ隅々ま」
「じゃかぁしぃわボケェ!!!!」
「ダボンッ!!!」
あ。
興奮気味に鼻息荒く両手を伸ばした前田さんの頭に、今までで一番と言っても過言ではない程の重い拳が落ちる。
ご、後藤さん…! 救世主登場!!
「テメェ一歩間違えると犯罪だぞ牢にぶち込むぞァア?」
おお…今までにないくらい怒ってくれてる…!
最後の巻舌が怖い!