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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第12章 鬼と豆まき《壱》✔



 考えれば考える程疑問が浮かんでいく。
 それが顔に出ていたのか、ふとお館様と目が合った。
 その目は見えないはずなのに、何故か見透かされているような気になる。


「では義勇と無一郎は、蛍と禰豆子への手解きを任せたよ。炭治郎、妹を借りるからね」

「あ、あの…鬼役とは何をするんでしょうか? 禰豆子は人を傷付けないよう、鱗滝さんに暗示を掛けて貰っています。その禰豆子が鬼役なんて…」

「大丈夫だよ。鬼役と言っても本当に人を傷付ける訳じゃない。炭治郎も節分は知っているよね。あの鬼と道理は一緒だ」

「心配しなくても、禰豆子の安全は俺が保証する」

「義勇さん…」


 お館様の言葉にはまだ不安げな表情を見せていた炭治郎が、義勇さんの声にはほんの少し声が明るくなる。

 そういえば義勇さんは炭治郎と育手が同じ、兄弟子に当たるとか…そして炭治郎と禰豆子の為に切腹の誓いを立てた人。
 炭治郎に信頼を寄せられている義勇さんなら禰豆子を預けても…いや待って。
 この流れだと義勇さんと禰豆子が組むの?
 そしたら私は…時透くんと?

 ええ…う、うーん…それは…問題アリだ。
 私も組むなら義勇さんがいいな…いやでも禰豆子を時透くんに任せるのも憚(はばか)れる…うううん…。


「ふふ」


 思わず腕組みをして頸を捻っていれば、お館様がくすくすと口元に手を当てて笑う。
 その目はやっぱり私に向いていた。

 え、悩んでいたのバレた?


「蛍はやる気があるみたいだね。良いことだ」


 え。
 いや、そういう訳では…。


「鬼と柱が組めば、今年の災厄は一層強固なものとなるだろう。皆も油断していたら足元を掬われるよ」


 だからその災厄って何?
 何をするの一体?


「は、面白ェ。返り討ちにしてやる」

「フン。今年は一層潰し甲斐のありそうな鬼だ」

「蛍ちゃんと禰豆子ちゃんが混じるなんて、華やかになるわねっ」

「うむ! 楽しみだ!」

「鬼と人が組む…それもまた定めか…」

「足元掬えるなら掬ってみろよ。なァ蛍」

「皆さん、今年はやる気ですね」


 ああもう胡蝶の言う通り、なんかやる気出してるよ柱の方々が。
 人を傷付けないはずの鬼役に対して暴力を示唆するようなこと言ってるよ特に風柱と蛇柱が!
 去年の鬼組怖い!

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