第12章 鬼と豆まき《壱》✔
「実は今年の鬼は蛍と禰豆子にしてもらおうと思っているんだ」
「えっ蛍ちゃん達に…!?」
「よもや」
「それは真ですかッ」
「それはそれは…」
「鬼子二人に務まるとは思えないが…」
「マジか。そりゃあ鬼だけどよ」
いや待って。
お館様の発言に皆驚いてるけど待って。
驚愕!な空気出してるけど、私と炭治郎にはちんぷんかんぷんだから。
義勇さんと時透くんは無反応だったけど。
何、鬼って。
私達鬼ですけど何か。
「あの…鬼って?」
私の心の声を代弁してくれた炭治郎に、柱達の目が一斉に向く。
途端にびくりと縮こまってしまった。
ああ…凄くよくわかる炭治郎の気持ち。
柱って変に一斉動作が揃ってるからなぁ。
そういう時の圧凄いよね。
「炭治郎と禰豆子、そして蛍は初めての行事だろうから、きちんと説明をしないとね。にちか。かなた」
「「はい」」
お館様の命に、傍らに待機していたあまねさんと同じ白髪の少女二人が声を上げる。
お館様とあまねさんの五つ子の中の娘らしいけど、すみちゃん達くらいの年頃に見えるのに言動が凄くしっかりしている。
凄いなぁ。
「鬼殺隊で毎年二月に行っている節分は、世間一般の節分とは些か異なります」
「鬼役・隊士役・平民役に分け、一日を通してその役を皆様には全うして頂きます」
ふんふ…あ、出てきた役名。
義勇さんが言ってた隊士役ってそれだったんだ。
「鬼は人々を脅威に陥れる厄災。隊士はその鬼を討つ者。平民は世の理(ことわり)です」
ふ、ふんふん?
幼いのに難しい言葉使うな…。
「通常、鬼役は柱の中から二名。その他の柱は隊士役。そして平民は他鬼殺隊隊士全員が役目として就くこととなっております」
へぇ…え。待って。
じゃあその大事な鬼二名の役を、私と禰豆子にさせようってこと?
いやいやいやいや。
「あ、あの。柱が全うしていた鬼役を、私と禰豆子が果たせるとは思えないんです、が…」
恐る恐る挙手して告げれば、想定の範囲内だったのか。お館様は顔色一つ変えなかった。
「大丈夫だよ。その為に蛍と禰豆子には、それぞれ柱を一人つけようと思っているからね」
柱をつける?
もしかして柱と二人一組で鬼役をするの?