第12章 鬼と豆まき《壱》✔
「でもこれ杏寿郎と私の分? にしては多いね。歳の数以上あるし」
豆撒きをして、それからやっぱりおしるこにしよう。
再度麻袋の中を覗けば、後ろから杏寿郎の手がぽんと肩に乗る。
ん?
「今年はお館様も楽しみにしておられるようだ。なんせ蛍も参加できるのだからな!」
「そう?」
豆を撒くくらいで、そんなに張り切るなんて。
鬼殺隊だからなのかな。
特別な行事っぽいし。
「事前集会は明日の夜! 蛍も招かれている。共にお館様の下へ集うぞ!」
「…うん?」
待って事前集会?
何それ。
節分に集会なんて必要なの?
豆を撒くだけでしょ?
「集うって? 鬼殺隊の皆で?」
「柱同士の集いだ!」
柱合会議みたいなもの?
じゃあまた柱の皆が集まるんだ。
「凄い立派な行事なんだね…?」
神社で行われるような、大掛かりな豆撒きでもするのかな…。
「うむ! 我らの本意を改めて見直し、また訓練の一環にもなる! 素晴らしい祭事だ!!」
「…へぇ」
あれ。
なんか、そわそわする。
おしるこに期待していた時とは、程遠い感情で。