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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第11章 鬼さん、こちら。✔



「怪我なんてしてねェ。俺はこいつの監視でついてるだけだァ」

「監視?」

「でも蛍さんの監視は必要なくなったってしのぶさまが…」

「あ?」


 更にきょとんと頸を傾げる三人に、不死川のぬっと伸びた手が──って待って待って!


「女の子に乱暴駄目っ!」

「あ?」

「わっ」

「え?」

「蛍さん?」


 すみちゃんの頭を鷲掴もうとした不死川に、咄嗟にすみちゃんの体を抱きしめ背を向け庇う。
 私には乱暴してもいいけど、こんな幼い子に手を上げたらもう犯罪だから!


「いくら柱でもこの子達に手を出すのは許さないからッ何も悪いことしてないでしょ!?」

「ほ、蛍さん…」

「はァ? 何言ってんだおま」

「暴力反対!」

「蛍さん、でも」

「いいのすみちゃんは隠れてて」

「蛍さん、不死川さまは」

「なほちゃんは胡蝶呼んで来てくれるっ?」

「だけど」

「きよちゃんそいつから離れて! 殺され」

「阿呆かァアア!」

「いたぁああ!?」

「蛍さぁあん!?」


 不死川の罵声と共に頭に落ちた拳骨が、盛大に視界に火花を散らす。
 今日一番の重い拳骨に堪らず頭を抱えて蹲った。 

 いったいぃい…!


「誰が誰に手を上げるってんだ? あ!? ンなことする訳ねェだろ!」

「っ…今し方拳骨落とした男がよく言う…」

「ほ、本当です蛍さんっ」

「不死川さまは、あたしたちに手を上げたことなんてありませんっ」


 なんですと。

 頭を抱えた体制のまま、血管を浮かび上がらせた殺人鬼の顔した不死川…を、弁護するきよちゃん達を凝視する。
 ちょっと待って今なんて?


「不死川さまは女性や子供には優しいんです」

「それにお年を召した方にもっ」

「動物にもそうですよねっ」

「…は?」


 ちょっと耳悪くなったのかな、きよちゃん達が言ってることがよくわからない…。


「不死川が…は? ヤサシイ…?」

「はいとっても!」

「トッテモ?」

「すごく!」

「スゴ、ク?」

「初めて聞いた言葉みたいな顔すんなボケ」


 いやだって。


「可笑しいな…きよちゃん達の言う通りなら、どうにも矛盾が…え? 女に優しい?…優しい?」


 私、女ですけど?

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