第11章 鬼さん、こちら。✔
「いいかァ、お前が死ぬのはその頸を俺が斬る時だ。衰弱して朽ち果てるなんざ、しょうもない死に方だけは選ぶんじゃねェ」
「ええ…だから不死川だけはごめんなんだけど…」
「お前が畜生に堕ちなけりゃいたぶらねェつってんだろォ」
「というか私の命はぎングッ」
「よォし決めたぜってェお前は俺が斬る」
急に口を鷲掴まれて、みなまで言わせて貰えなかった。
いや…うん…義勇さんに敏感過ぎるでしょ…。
私「ぎ」しか言ってなかったけど。
よくわかったね義勇さんの名前だって。
「ふんぐふふ」
「あ?」
「ふふぁほはふ」
「日本語喋れや」
喋ってるから日本語!
この手が邪魔してるだけだから!
「ぷはッ! でも私は、死ぬ時は人として死にたいと思ってるから!」
掴んだ手を引き剥がして主張する。
これは杏寿郎達の前でも誓ったことだ。
生きることに胸は張れないけど、せめて死に方は自分で選びたい。
「その刀は鬼を斬る為のものでしょ。だから私には不要だよ」
今のところは。
「そこに絶対はねェだろうが。俺もお館様の前で誓った身だァ。お前に何かあった時の処罰は俺がする」
その役目が本来は義勇さんなんだろうけど…またここでそれを言ったら、今度は顎を割られるかもしれない。
……やめておこう。
「わかったよ…じゃあ私が本当に鬼化してしまったら、その時は誰かを傷付ける前に止めて」
先に白旗を振ったのは私だった。
諦めの溜息と共に認める。
認めなくたって、斬る時は斬られるだろうし。
…想像したらなんだか頸回りがそわそわしてきた。
「ただし斬る時は一瞬でお願いします。痛いのは嫌なので」
「鬼の癖に何貧弱なこと言ってやがる」
「それ偏見。鬼でも痛いものは痛いし怖いものは怖い。だからすぐ殺すとか凄まないで怖いから」
本当、鬼だからって皆軽々しく私の体扱い過ぎだから。
再利用品じゃないから。
「大体私、貧弱な鬼ですから。優しく扱って下さい。優しく」
「……」
バシッ
「何故叩く!?」
「叩いて欲しそうな顔をした」
「どんな顔!」
してないから!