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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第10章 世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る✔



「鬼の細胞を取り入れて活性化させるのに、まだ多少時間が掛かる。その速度を上げたい」

「それ…私を、喰うってこと?」


 無言で頷く玄弥くんの目は本気だった。
 その目には、目標である柱しか映っていない。
 その為なら自らが禁忌を侵すこともものともしていない、覚悟をした目だ。

 喰われるのか…言葉にしたら凄い。
 鬼だから、そこは問題ないけど…でも私、喰われるのか。
 う、ううん…。

 正直に言えば遠慮したい。
 だけど玄弥くんのその鬼の細胞を取り込む様を見てみたいのも、本音。
 私も私で自分を喰らってきたから、それで命を落とさないことは確証済だし…。


「…わかった。じゃあ条件交換。その訓練につき合うから、私の別の訓練にもつき合ってくれる?」

「なんだそれ?」

「その時に話すよ」


 まだ政宗にしか見せていない、私の異能。
 それをより強固にする為の訓練はしないと。
 玄弥くんになら見せてもいいかな。


「喰らうって、どれくらい…その、喰べる、の? 焼いたり切り取ったり、する?」

「しねぇよ、肉や魚か。あんた達鬼と同じで、そのまま喰らうだけだ。部位はどこだって関係ない。多分な」

「ふぅん…そっか」

「……」

「…何?」

「ビビってんのか?」

「!」

「ぶッ」

「な、何っなんで笑うの!」


 協定後から割と素直な表情を見せてくれるようになった玄弥くんだけど、素直に言葉を交わしてくれるのも嬉しいけど。

 でも笑われるのは心外!
 ビビって悪いのかな!?


「当然でしょ! 体を喰われるなんてわかっててビビらないはずない! 痛いの嫌だし!」

「痛いのが嫌とか。本当に鬼かよ?」

「あ、偏見。そこ風柱と一緒、玄弥くん。いくら再生するからって平気な訳じゃないんだからね。痛いし怖い。普通です」


 私は、だけど。


「兄貴が…らしいな、なんか」

「いやそこじゃない。納得して貰いたいのそこじゃない」


 本当、お兄さんの話になると目キラキラするよね玄弥くん。
 素敵なことだけど!

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