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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第4章 柱《壱》



 温かい、なぁ。


「……」


 鬼になってから、こんなふうに当然のように手を握られたことなんて一度もなかった。
 その何気ない体温が染み入る。

 彼女のように気の利いたことは言えないし、そもそも口枷で言葉も封じられている。
 代わりにぺこりと頭を下げて、今の自分の精一杯を伝えた。


「まぁ礼儀正しいのね! きゅんとしちゃうっ」

「うむ。正しく相手に向き合う姿勢は大事だ」


 同じに頭を下げてくれる蜜璃ちゃんに、大きく頷いてくれる杏寿郎。


「ただ頭下げただけだろ。別にな」

「まぁ! 煉獄さん、あの美味しそうな匂いがするお弁当箱は何っ!?」

「あれはさつまいも弁当だ!」

「さつまいも弁当!?」

「甘露寺も食べるか!?」

「いいの!?」

「無論!」

「オイ無視かよお前らオイ」


 忍者の戯言は思いっきり二人の勢いに流されてたけど。
 いい気味だと見てたら何故か忍者と目が合った。
 あん?と悪態を突かれた。

 勘がいいな、忍者も伊達じゃない。


「じゃあもっと月がよく見える場所で食べましょう! 蛍ちゃん、こっち!」

「っ」


 繋いだ手をそのままに、蜜璃ちゃんに引っ張られる。
 鼻歌混じりのなんとも楽しそうな雰囲気に逆らえず、その手に従ってついて行くことにした。


「宇髄も来るか?」

「地味に面倒臭ぇ…が、あの鬼には興味がある」


 え、忍者も来るんだ…。

 後ろで聞こえた会話に思わず振り返れば、何故かまた忍者と目が合った。
 あ"あ?と更なる悪態を突かれた。

 察しがいいな、忍者も伊達じゃない。

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