第9章 柱たちと年末年始✔
「神社だけの御参りなら必要ないけど…折角だし、見てみる?」
じぃっと大釜を見ていたら、興味が伝わったらしい。
蜜璃ちゃんの手に引かれるまま、大きな釜に近寄ってみることにした。
近付くと、白い煙が凄い。
「むっ…くすんッしゅんッ」
口枷をしているから、思わず鼻から吸い込んでしまった煙にくしゃみが出る。
すんすんと鼻を慣らしていれば、きゅっと握られた手に力がこもった。
「なんて可愛いくしゃみなの…!」
出た蜜璃ちゃんの胸きゅん発言。
すぐになんにでも胸きゅんする蜜璃ちゃんだから、嬉しいけど余り鵜呑みにはしないようにしてる。
私より貴女の方が、くしゃみ顔は絶対的に可愛いですよ。
だからそんなに頬染めてこっち見ないで下さい。
恥ずかしいです。
「この煙は、体の悪い部分や痛い部分に当てるとご利益があると言われているんですよ」
「くふんっ」
急に視界が真っ白になる。
わざわざ説明してくれるのはありがたいけど、胡蝶の手がぱたぱたと私に煙を…待って顔に直撃してるんだけど。
またくしゃみが出たんだけど。
何それ、遠回しに私の顔が悪いって言ってる?
それとも頭? 頭の中なのかな?
どっちも凄い嫌がらせです。
「待て胡蝶。それはゲホッ」
「え? なんですか冨岡さん? 鬼のこととなると煩い冨岡さん」
うわ。今度は義勇さんの顔に煙が直撃してる。
私以上に、噴射口並の勢いで。
義勇さんの顔真っ白になってるから咽てるから。
相変わらず義勇さんには手厳しいなぁ…。
天元の時とは違って助けようとしたけど、胡蝶の素晴らしい手捌きの線香噴射を喰らって無念と化した。
お陰で私の顔も真っ白。
「くすんッ」
「しのぶちゃん、機嫌でも悪いのかしらね…?」
それは私限定だと思いますハイ。