第9章 柱たちと年末年始✔
「そうだ! 折角だし可愛い着物を見立ててあげる! 今度は一緒に仕立てましょっ」
以前お揃いの割烹着を着られなかったことを思い出しているのかな。
目をキラキラさせて誘ってくる蜜璃ちゃんに、今回ばかりは断れそうになかった。
でもまだ不安が残るのは義勇さんだ。
許しは出るのかな。
ちらりと見上げた義勇さんは、ほんの少しだけ眉間に眉を寄せていた。
考え中、とか?
「甘露寺の言う通り、柱が全員ついていれば問題ないだろう。この一年鍛錬を耐え抜いた蛍少女に、息抜きをさせてもいいと俺は思うぞ!」
そう提案する杏寿郎に、尚も沈黙を作る義勇さん。
どうなることかと見守っていると、ぽんと背中を誰かに押された。
「?」
『お前からも言ってやれ。冨岡に』
振り返れば、巨体を縮ませて顔を近付けた天元が小声で催促してくる。
私が言って何か変わるのかな…変わらなさそうだけど。
それでも、初めて姉さん以外と迎える新年の初詣。
興味は、ある。
「…ぎゆうさん」
「……」
「みんなからはなれないように、きをつけるから…くちかせもする。それじゃだめ、かな」
駄目元で恐る恐る頼み込んでみる。
じっと見下ろしてくる黒い眼にほんの少し気圧された。
「行きたいのか」
「…うん」
「……」
答えはない。
一瞬の間だっただろうけど、なんだか長い間に感じた。
それを終わらせたのは、義勇さんの大きな溜息。
「お館様に確認を取ってからだ」
あ。や、った?