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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第9章 柱たちと年末年始✔



「でも…いいの?」

「? 何が」

「その…そんないちだいぎょうじなら、かぞくとすごしたいんじゃないかなって…」


 普通はそうじゃないのかな。
 天元は三人の奥さんもいることだし…あ、でもそれは天元の場合であって他の柱達はわからないかも。

 胡蝶の家族は鬼に殺されている。
 となると他の柱達も同じ境遇である可能性は高い。
 下手なことは、訊けない。


「……」

「なーに暗い顔してんだ。俺ぁ女房達とは帰ってから祝うからいいんだよ」

「わっ…」


 そういう意味で、暗い顔になってた訳じゃないけど。
 わしわしと大きな手で頭を掻き撫でられて、天元独特の勝ち気な笑顔に迎えられた。
 この笑顔は、不思議と大丈夫かなって気にさせる。


「元々我らは鬼殺で全国を駆け回っている身。行事もほとんど関係ないようなものだ。今回は柱会の為に集まってもらったが」


 そうなんだ…柱って暇なのかななんて思ってたけど、多忙な身だったらしい。
 それと同時に柱会の重要度を知る。
 わざわざその為に大晦日に集まるなんて。
 余程杏寿郎も柱会を開催させたかったんだなぁ…。


「お前らも異論はねぇだろ? 折角柱会で勢揃いしたんだし、年明けに仏さんに挨拶しに行っても罰は当たらねぇぜ」


 そう皆に問い掛ける天元の言葉に、流石に反論は周りから挙がらなかった。

 初詣…姉さんと暮らしていた頃は、二人で細々と祝ってたっけ。
 小さな神社に足を運んだこともあるけど、他人と初詣なんて行ったことがない。
 どんな感じなんだろう。

 というか、


「きさつたいに、じんじゃってあるの?」


 鬼を狩る組織に、そういう建物はあるのかな。


「鬼殺隊本部の敷地にはありませんが、外部なら近場にもありますよ」


 そう答える胡蝶に一種の疑問が浮く。
 私の監視は、以前より厳しくなったと義勇さんが言っていた。
 鬼に会いたいと行った時も、はっきり駄目だと言われたし。
 なのに、その鬼殺隊の外に出てもいいのかな。


「大丈夫よ。柱が全員ついているんだもの。大船に乗ったつもりでいいわよ蛍ちゃんっ」


 そんな私の心を読み取ったかのように、蜜璃ちゃんが握り拳を作って励ましてくる。

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