第9章 柱たちと年末年始✔
「つきあうって、なにに?」
「何って、この日は一つしかねぇだろ」
この日?
今日、何か特別な日だったっけ?
「ああ。そういえばもうそんな時間ですか」
「柱会が楽しくって、すっかり飛んじゃってたわ」
柱の皆は知っているらしい。
時間帯で発生する出来事ってこと?
私には何がなんだか、さっぱりだ。
わからずに皆の顔を見上げていれば、いつも強い杏寿郎と視線が合った。
眼力があるから目が合うのは自然なことだと思ったけど、ぱちりと杏寿郎の目が驚いたように瞬く。
なんだろう?
「っ蛍少女! 今年もよろしく頼もう!」
「…え?」
かと思えば、ぱっと切り替えるように笑顔を浮かべた杏寿郎に勢いで告げられた。
今年も?
よろしく頼もう?
よくわからないでいると、今度は蜜璃ちゃんが膝を折って顔を寄せてくる。
「明けましておめでとう、蛍ちゃん」
「え。」
今度こそ理解した。
明けましてって。
年、明けたの?
もしかして柱の忘年会、去年の最終日にしてたの?
「あら。どうやら彼女は知らなかったみたいですね」
「むぅ…月日の話はしていなかったからな。面目無い」
周りの反応からして嘘じゃないみたいだ。
「いくら鬼だからって世間に無頓着過ぎるだろ。年に一度の一大行事だ、覚えとけよ」
「…ひづけひょうをおいてくれたらね」
お館様に言われるまで、一年半も此処にいたことも気付かなかったんだから。
年末年始に気付かなくても仕方ないと思う。
「体で覚えりゃいい。ってことで今から行くぞ」
「いくって…まさか、」
今度は予想ができた。
元旦に行く所と言えば一つだ。
「決まってんだろ。初詣だ!!」
高らかに笑う天元から、予想通りの行事名が飛び出してくる。
でも初詣って。
なんか鬼を狩る組織からは余り予想のつかない行事だけど…。