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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第9章 柱たちと年末年始✔



 なんか変な音が…いや声?


「ヂュウ!」

「チュウチュ!」


 変な音が増えた。
 というかこれ絶対声だ。
 人語じゃないけど。獣?

 恐る恐る瞼を開ける。
 ほんの少しだけ頭を擡(もた)げて机の上を覗く。
 声がした気がする方角へ目を向けると、其処に音の答えがあった。


「チュウッ!!」


 小さな灰色の毛玉。
 大きな耳に尖った鼻。
 長い尾にくりくりとした瞳の──


「…ねずみ?」


 そう、鼠。
 何処からどう見ても鼠。
 それが仁王立ちで立っていた。

 そう、立っていた。
 人間のように。
 寝ている、とある人物の上で。


「チュウチュッ!」


 他にも気になったのはムキムキに鍛え上げられた筋肉。
 小さいけど逞しい腕で、ぺしぺしと目の前の体を叩いている。
 額には小さな額当てのような物を付けていて、キラキラとした宝石が散りばめられ…待ってあれ凄い見覚えがある。

 思わず身を乗り出す。
 もっと近くで見ようとすれば、鼠達が乗っていた山がのそりと動いた。
 違う、人影が。


「ふあ……んぁ?」


 ぐしぐしと輝く銀髪を掻きながら身を起こしたのは、やっぱり。宇髄天元だ。


「チュ!」

「おー、もうそんな時間か。ありがとな」

「チュチュ」


 …鼠と会話してる。
 チュウチュウしか聞こえないけど、わかってるような顔で体に乗ってる鼠に笑いかけてる。

 あっも、もしかしてあれが…!


「にんじゅうとか…っ!?」

「あん?」


 忍獣! 絶対そうだ!
 だってあんな筋肉ムキムキの二足歩行できる鼠なんて見たことない!
 おまけに天元と同じ額当てまでしてるし!

 更に身を乗り出して口走ってしまったから、一斉に彼らの目がこっちに向いた。


「なんだ、蛍も起きたのか」

「そ、それ、にんじゅうでしょ?」

「ああ、こいつらな。俺が鍛えた鼠達だ」

「やっぱり…!」

「目ぇキラッキラしてんなオイ」


 だって初めて見た!
 本当に存在するかわからないものを!

 天元が忍者と知った時の衝撃と同じだ。
 凄い。ドキドキする。
 忍術とか扱えるのかな。


「もっとちかくでみてもいいっ?」

「いいぜ。お前ら他の皆も起こしに…お。冨岡は起きてたか」

「…なんの騒ぎだ」


 あ。
 寝てなかったんだ義勇さん。

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