第9章 柱たちと年末年始✔
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「ぎゆうさん?」
…へ、返事がない…本当に寝たのかな…。
いきなりそっぽを向くから何かと思ったけど、もしかして眠たかったのかな…。
それにしてもなんで杏寿郎に勝ってよかったのか…そこも謎だ。
小さな窓の外を見る。
硝子も障子もないそこからは、冬場はいつも冷気が流れ込んでくる。
夜も深まった気温に、思わずふるりと体を震わせた。
柱の皆と雑魚寝をしているこの状況も異常だけど、私が鬼になってから訪れたこの鬼殺隊本部自体が私の知る日常とはかけ離れた場所。
半ば麻痺したその場の風景に溜息を一つ。
義勇さんが寝るなら…私も、寝ようかな…。
鬼は夜が本場だけど。
皆で雑魚寝しているこの空間は、割と好きかもしれない。
炬燵のお陰もあるけれど、なんだかあったかいから。
義勇さんと同じく、もそもそと炬燵に入り込む。
火鉢で暖められてる布団の中は温かいけど、空間があるから少し寒い。
でもほとんどぎゅうぎゅうに詰まってる人数に、両側には義勇さんと蜜璃ちゃん。
その体温のお陰で少しの寒さも気にならなかった。
温かい以上に、なんだか心地良い。
義勇さんのやり直したいことには不安を感じたけど、最後には私を見てくれたし。
少し狡いやり方だとは思うけど…なんだか遠くだけを見ている気がしてならない義勇さんだったから。
此処にいる、今生きている私を見て欲しくて。
勝手に理由付けをして引き止めた。
「……」
…改めて考えれば、凄く恥ずかしいことをしたような…我儘にも程があるな、自分…。
それでも義勇さんが応えてくれたから嬉しかったけど………ん? 嬉しい?
あれ。
そこ、よかったんじゃなくて嬉しいの? 自分。
「……っ」
あれ。
なんか考えれば考える程、恥ずかしくなってきた。
よ、よしもう寝ようそうしよう。
これ以上は変に顔が熱を持ちそうで、考え込んでいた思考を止める。
すると意外にも、段々と頭がうつらうつらとしてきた。
心地良い体温に眠気を促されたのかな…瞼が重い。
それならこのまま私も寝てしまおう。
そう、そっと目を閉じた。
「ヂュウッ!」
…ぢゅう?