第4章 柱《壱》
「きゃあ! ごごごめんなさい宇髄さん!!」
「いっつ……お前がいつまでも地味に覗き見してるから、俺が声かけてやったんだろ…」
「わっ私は声をかけたいだなんて…! いつも煉獄さんと楽しそうにお喋りしてるみたいだし、そこに混じりたいなんて一言も…!」
「言ってんだろ態度がよ。そしてなんで恥じらってんだ相手は鬼だぞ」
え? その会話の流れ、私が入ってたの?
両手で顔を覆って恥じらう女の子を、ひっくり返っていた体勢を戻して改めて見る。
隊服を着ているから隊士だろうし、あの忍者を飛ばした腕前を見るときっと柱の剣士だ。
凄い頭の色してるけど、柱の人って皆こんな派手なのかな。
「むぅ! そうだったのか! それは気が利かずすまない! 甘露寺も月見をしていくか!?」
「えっいいの!?」
きゅんッ♡
途端に顔を覆っていた手を離して頬を染めた女の子が嬉しそうに…今きゅんって何か鳴った?
何処の心の弾む音?
「ありがとう煉獄さん!」
直角に頭を下げて勢い良く礼を言ったかと思えば、女の子の大きな瞳が私に向く。
わぁ…近くで見れば、凄く………胸が大きい。
なんだろうあの隊服の作り。
胸の谷間が凄く見えてるどころじゃないくらい凄くポロリしてる後もうちょっとで大事なところが見えそう。
なんで杏寿郎も忍者も平気なの?
私が男だったら絶対一度は凝視してしまうと思うけど。
「私は甘露寺 蜜璃(かんろじ みつり)! 蜜璃でいいから、私も、その…蛍ちゃんって呼んでいいかしらっ?」
あ…私の名前、知っていてくれてる。
泣き黒子を称えた大きな両目が、期待に満ちた眼差しを向けてくる。
今までそんな目で見てくる人間なんていなかったから正直たじろいでしまった。
「甘露寺は元は俺の継子だった。素直で優しい良き娘だぞ」
「キャッもう煉獄さんったらそんなこと…!」
きゅんッ♡
あ、また鳴った恋が始まるような胸の音。
多分あれ、あの女の子から鳴ってる気がする。
というかどう見てもあの女の子から聴こえてる。
…恋多き女性なのかな。