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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第4章 柱《壱》



 今なんて…うずい、てんげん?
 いやちょっと待って神って言った? んんん?


「神だっつってんだろ。敬え。へつらえ。頭(こうべ)を垂れろ」

「……」

「地味に固んなオイこら!」

「ふぐっ」


 ビシリと指先で額を突かれて、思わず体が後ろに倒れる。
 簡単な突きだったけど結構な衝撃だ。
 その結果、受け身を取れずに岩場から転がり落ちてしまった。


「大丈夫か? 彩千代少女」

「んだよ、弱っちい鬼だな」


 頭から落下した逆さまの視界に映る、逆さまの二人の顔。

 いや、自分の立場は理解してますけど…もうちょっと気を遣ってくれても。
 明らかに変なこと言ったのは、その宇髄って男なんじゃ?
 なんて? 神?


「ま、そんなことわかってたけどよ。こちとら敵の力量も計れない程落ちた忍じゃないんで」


 忍?って、忍者のこと?
 え? 忍者? 神が忍者?

 …忍者!?


「ふぐ…」

「なんだ、こいつ俺のことじっと見て…もしや惚れたか? 仕方ねぇな」

「それはないぞ宇髄!」

「なんで全否定なんだよ」


 凄い、忍者なんて初めて見た。
 というか忍者なんてまだこの時代にいたんだ。
 帯刀さえも珍しい時代だから、忍者なんてもう過去の産物だと思っていたのに。


「キャーーーー!」


 そうそうそんな黄色い声が飛ばせる程に…ん? きゃあ?


「女の子を虐めちゃダメぇ!!!」

「フゴぉッ!?」


 ドォン!


 まるで太鼓を打ち鳴らしたような、そんな轟音。
 可憐な声と共に響いた呻き声は、私を覗き込んでいた銀髪の男から発せられたもの。

 というか銀髪の忍者男が、弾けた。弾け飛んだ。
 可憐な二つの腕に押されて、隣の岩場まで飛んだけど何コレ。


「甘露寺おま…ゴフッ」


 あ、忍者が血を吹いた。

 何アレ凄い腕力の持ち主なのあの女の子。
 そしてこれまた忍者と揃って派手な頭。
 桜色から草色へと染まっている、鮮やかな長髪を三つ編みにした女の子。
 胡蝶しのぶとは違う意味で、綺麗な顔をしている。

 そんな女の子が突如走り込んできたかと思えば、筋肉質な忍者をいとも簡単に押し飛ばしたんだ。
 …色々展開が急過ぎて驚きしかない。

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