第9章 柱たちと年末年始✔
「あいつ相当ワイン飲んだな。酔ってねぇかアレ」
「宇髄さんが飲ませたんでしょう、何言ってるんですか」
「この場で飲まずしていつ飲むんだよ。胡蝶も飲むか?」
「私は十八ですので」
「それくらいの歳なら俺ぁ飲んでたぜ」
「未成年飲酒は禁止ですよ」
「おい煉獄! お前もその文句で俺を誘ったんだろうが。まさか今更無しだとか言わねぇよなァ!?」
「無論! 男に二言は無い!!」
凄む実弥に、杏寿郎も張り合うように立ち上がる。
大方鍋料理を食らい尽くした周りを見渡して、うむと頷いた。
「では久方振りに開催するとしよう! 我ら柱の力比べ!!」
「え、またやるんですか? あの腕相撲」
「俺は参加しないぞ…腕力だけが力量の全てではない」
「そうですよ。それにどうせ結果は見えてるんですし。私も不参加で」
早々と棄権宣言をしたのは、しのぶと小芭内だった。
前回の腕相撲大会で最下位だった二人は今更やる気もない。
それを見越していたのか、腕を組んだ杏寿郎がむんと胸を張る。
「そうだろうと思い、今回は腕相撲とは別の競技を開催することにした!」
「別のもの? 何かしら…」
「その名は"手押し相撲"だッ!!」
「…大して変わってなくないですか?」
「結局は相撲なんだな…」
「それは違うぞ胡蝶伊黒!! 手押し相撲は腕力だけでなく相手の気配を察知する能力や、体の柔軟さ機転の鋭さも求められる! 力だけでは勝てない競技だ!」
「競技って言う程のものですかねぇ…」
「それでも相撲は相撲だろう」
「相撲ではない! 手押し相撲だッ!!」
何をどう言っても大声量で返される。
熱く提案する杏寿郎を止める術は、どうやら誰にもないようだ。