第9章 柱たちと年末年始✔
ぐるりと炬燵を見渡してみる。
柱達でひしめき合ってる炬燵はある意味壮観だ。
その中で特に目つきが怖いのは風柱と蛇柱。
ここで蜜璃ちゃんの膝を堪能したら、後で伊黒先生から制裁を受ける気がする…というか絶対そう。
やっぱり断った方がいいかなぁ。
「あの…やっぱり膝を借りるのは悪いから、私は空いてる所に行くよ」
「そうか! ならば不死川の隣が」
「蜜璃ちゃんの膝がいいです!」
「わぁおいでませ!」
ハツラツとした笑顔で空いた隙間を指差す杏寿郎には悪いけど、即効断らせて頂いた。
おっかな柱の隣に座るくらいなら蛇の毒牙を選ぶ!
蜜璃ちゃんの甘い罠にかかってしまった気もするけど、幼児化するのは私にも都合がいい。
成人姿より飢餓症状を抑えられるし、その姿ならおっかな柱も安易に手は出してこないだろう(多分。恐らく。きっと。そうだと信じてる)
「夢にまで見た小さな蛍ちゃんっ」
「そんなによろこぶものでも…うぷっ」
ぽふん、と後頭部に当たる柔らかな二つの大きな大福。
お泊まり会の時のように縮んだ私の体は、呆気なく蜜璃ちゃんの二つの腕に因われて膝の上に乗せられた。
なんだか凄く子供扱いされてるみたいで恥ずかしいけど、人肌と炬燵の間に挟まれるのは…うん。
凄く、温かくて心地良い。
「彩千代蛍…後で覚えていろ…」
ドスの効いた低い声でぼそりと私にだけ聞こえるように、伊黒先生が威嚇してくる。
わあ怖い…けど、おっかな柱の殺気を隣でずっと感じるよりは絶対的にマシだ。
そう言い聞かせよう、うん。
「冨岡も入れたか?」
「…ああ」
溜息をつきつつ義勇さんも空いた所…あ。おっかな柱の隣に座った。
だけど顔色一つ変えないところは、流石義勇さん。凄い。
「よし! 全員揃ったな!」
皆を仕切るように、腕組みしたままの杏寿郎が声高々に宣言する。
「ではこれより! 一年を締め括る柱会を始めるとする!!」
かくして、柱会という名の親睦会が開始された。
…いや忘年会かな。