第9章 柱たちと年末年始✔
「ぉ…お邪魔、します」
「なんで邪魔するんだよ自分の部屋だろ。もっと偉そうに入って来い」
いや無理かなそれは。
だって柱全員の目がこっちに向いてるのに。
照れ臭さと、それを上回る緊張で姿勢正しく檻の中に踏み込む。
入れば尚わかる、その人数による狭さ。
円卓で囲めば全員入るみたいだけど、やっぱりぎゅうぎゅうだよね…隣同士でぶつかりそう。
「蛍ちゃん、蛍ちゃんっここ空いてるわよっほらここ!」
「えっと…そこ?」
ぱたぱたと片手を振って、満面の笑顔で呼び掛けてくる蜜璃ちゃんが可愛い。
だけど誘われるように踏み出そうとした足が止まってしまったのは、笑顔で彼女が指差していたのが自分の膝の上だったからだ。
…えっと。
「ここなら蛍ちゃんも寛(くつろ)げるかなって。どお?」
「いや…緊張しそうな気が」
だって伊黒先生の目が痛い。
ビシバシ視線を感じるから。
かっ開いた目が怖いから。
「緊張なんてしないわよ、一緒にお風呂に入った仲だもの! きゃっ♡」
いやまぁ蜜璃ちゃんに緊張はしないけど。
というかなんで頬を染めて照れたように笑うのかな。
女同士でお風呂に入るの、照れることじゃないよね?
「それにお泊まり会の時みたいに小さくなれば、蛍ちゃんも居心地良く過ごせると思うのっ」
「小さくだァ?」
「不死川さんは見たことないわよね。蛍ちゃん、お人形さんみたいに可愛く変身できるのよっ」
変身というかただ体が小さくなるだけというか…というか蜜璃ちゃんの魂胆がわかった。
きっとあの時一緒の布団で寝られなかった分をここで取り戻したいんだろう。
お泊まり会の後も結構言われ続けたもんなぁ…小さい私が見たいって。
人形好きな女の子みたいに、小さくて可愛…いかは、わからないけど。
とにかく小さい女子が好きらしい。
「だから、ねっほらここっ」
すっごく笑顔で、そわそわしながら膝を叩いて誘ってくる。
わあ…凄く、期待されている…どうしよう。