第9章 柱たちと年末年始✔
「俺はこいつに三日間の休暇を与えろと言ったんだ。柱総出で押しかけろとは言ってない」
「無論、それはわかっている。しかし折角の柱会と蛍少女の休暇が重なったんだ。誘っていけないことはないだろう?」
「それくらいで文句言うなよ。俺は三日も暇持て余せば退屈で死ぬな。地味に」
「ご、ごめんなさいね冨岡さん。私が蛍ちゃんも誘ったらって、煉獄さんに持ちかけたから…」
「もしかして甘露寺さんを責めるんですか? 冨岡さん。善意で動いてくれた女の子を? いつも参加しない癖に? こんな時だけ? ねぇ冨岡さん」
うわあ…。
杏寿郎の言い分はなんとなく責められないし、天元の言い方はカチンとくるけど立場上理解できるし、蜜璃ちゃんには絶対的に悪いところなんてないし、胡蝶がもう胡蝶過ぎて。
うわあ、としか言いようがない。
こればっかりは、義勇さんの肩を持ちたいけど…なんというか…うん。
あの恐らく柱会常連組であろう顔ぶれを敵に回したら駄目な気がする。
今からその柱会に参加するのであれば。
それを知ってか知らずか義勇さんは黙り込んだまま、それ以上の反論はしなかった。
「うし。準備出来たぞー。お前ら入れ」
知らず知らずに天元が準備を進めていたらしい。
その言葉に改めて檻の中を見れば…うわあ。
狭い檻に名一杯広げられた炬燵。
そこにぎゅうぎゅう詰めで入っている柱達。
さっきからうわあとしか言えてないけどやっぱりうわあとしか言えない。
定員越えてませんか。
「蛍少女と冨岡も入れ!!」
ハツラツとした表情で誘う杏寿郎に、どうしたものかと考えあぐねる。
余りの人口密度に、つい檻の外で待機してしまってたけど…。
「あの…やっぱり此処じゃ、折角の美味しいものも味気なくなりそうだし。場所、変えたらどうかな…」
今更かもしれないけど、やっぱりそこを問題視してしまう。
どうせなら杏寿郎の広い屋敷ですればいいのに。
こんな狭くて暗くて不衛生そうな場所じゃなくて。
絶対にそっちの方が居心地が良いと思う。
「杏寿郎の屋敷とか、そっちの方が快適なんじゃ…」
「何を言っている蛍少女。それでは意味がないだろう!」
意味?