第9章 柱たちと年末年始✔
「なんだこのきったねー床はよ。掃除ちゃんとしてんのか?」
「し、してるよ…っできる範囲で」
我が物顔で檻内を荒らす天元に慌てて声を上げる。
自分の部屋なんかじゃないけど、一応此処で生活してる身だし。
そんなふうに言われると、なんかちょっと恥ずかしい。
でもほとんど剥き出しの地べただから、汚れても仕方ないというか…っ
「甘露寺。あれ持ってきたか?」
「ええ!」
あれ?
あれって何。
顎で促す天元に、威勢よく頷いた蜜璃ちゃんが後ろから取り出し…うわ。何それ何畳分の畳?
というかそれ素手で担いできたの? 流石蜜璃ちゃん!
「肝心の物はどうした」
「それなら伊黒さんが持ってきてくれます!」
あ、伊黒先生も此処に来るんだ…そうだよね蜜璃ちゃんがいれば出てくるよね蛇も穴蔵から。
というか肝心の物って何。
さっきから話がまるで見えない。
「ね、ねぇ杏寿郎。本当に何コレ?」
「む? 見てわからないか?」
「わからないから訊いてるんだけど…」
「これは畳だ!」
「………いやそうじゃなくて」
うん。そうだけど。
確かに畳を指差して訊いたけど。
そういう意味じゃなくて、ですね。
「宇髄が手にしているものは、布団に木箱だ!」
「いやだからそうじゃなくて、」
うん、確かに布団と木箱。
布団は何処にでもあるような、でも私用の檻にある布団より大きなもの。
木箱は細い棒で組み立てられた側面が空洞になっている形のものだ。
布団と木箱。見ればわかる。
わかるんだけど用途がわからないんだって。
あれなんの目的で持ってきたの?
「ちなみにこれは卓上板だ!」
「…卓上?」
続いて杏寿郎が何処からともなく取り出したのは、大きな木の板…って本当に何処から取り出してるの蜜璃ちゃんといい。
畳に木箱に板にって。
此処で工事でも始める気なの?
それになんなのその板。四方に杭みたいなの打たれているけど。
卓上板というより卓上机じゃないの。
檻に入れたら狭さ的にぎりぎりだけど。
何するの?
全っく、わからないんだけど。