第8章 むすんで ひらいて✔
ドゴォ!
地面を殴り付けた衝撃で土煙が舞う。
その煙の中から第二撃を繰り出してくるおっかな柱の拳を、既のところで顔を逸して避けた。
あっぶな…!
「逃げんじゃねぇよ! 死合え!!」
「っ遠慮します! もうお邪魔しました帰ります!!」
「ァあ!? そうやって毎度おはぎ置いてくなゴラァ!!」
「したくてしてる訳じゃないから! おはぎに罪はない!!」
仕方ないでしょ罰則なんだから!
一週間おはぎで突撃しろって天元に言われたんだから!
つまり計七回突撃しなきゃいけない訳で!
「あと二回で終わるから!」
「ンだその数字は! 一度で置いてけや!!」
いやはや全くその通り!
私だって何度も来たくないからこんな所!
来る度におっかない形相の風柱からの猛攻を避けなきゃならないんだから!
「もうこの鬼ごっこも見慣れたものだけど…蛍ちゃん大丈夫かしら?」
「彩千代が自分で相手をすると言ったんだ。危険な時は止めればいい」
「そうだけど…」
「それよりこのおはぎを台所に運ぶぞ」
「あ! 冨岡さん、また"それより"って言った! だからその言い方は…っ」
鬼ごっこ違う!
これは鬼が追われてる方だから!
そう蜜璃ちゃんに突っ込みたくても、おっかな柱の攻撃が激し過ぎて息つく暇もない。
そんな私達を余所に、蜜璃ちゃんと義勇さんは風呂敷に入ったおはぎを台所へと運びに行ってしまった。
確かに手を出さないでって言ったのは私だけど。
一応こんな男でも柱の一人だから。
自分でどうにか向き合わないとって、決意したのは私自身だけど。
でもやっぱり助けて欲しいかなぁとか思っちゃったりしてますハイ!
そんな本日は、未だ続いている天元の罰則。
不死川おはぎの日。